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名誉毀損を巡る最近の裁判

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先日,「社会的評価を低下させる表現が名誉毀損になる場合,ならない場合」というトピックで,橋下徹氏に関する週刊誌記事が名誉毀損にあたると認められた裁判例についてご紹介しましたが,他にもいくつか裁判例が報道されていましたので纏めてご紹介したいと思います。


 

原告:元内閣総理大臣菅直人氏 被告:現内閣総理大臣安倍晋三氏

平成23年5月,安倍氏が自身のメールマガジンに「菅総理が海水注入を指示したというのはでっちあげ。始まった海水注入を止めたのは菅総理その人だった」などと書いたことにつき,菅氏が名誉を傷つけられたとして1100万円の損害賠償などを求めた裁判で,東京地裁は菅氏の請求を棄却する判決を言い渡しました。

TBSニュースサイト「「安倍首相のメルマガの重要部分は真実」菅元首相の訴えを棄却」

朝日新聞デジタル「安倍首相メルマガ訴訟、菅元首相の請求棄却 東京地裁」

産経ニュース「福島原発めぐる安倍首相メルマガ訴訟 「海水注入中断させかねぬ振る舞いあった」「記事は重要な部分で真実だった」」

コメント:上記TBSニュースサイトの記事によれば,「判決で東京地裁は、「記事の内容は菅氏の資質に疑問を抱かせるもの」としましたが、「当時、総理大臣だった菅氏に海水注入を中断させかねない振る舞いがあり、安倍総理のメールマガジンの記事は重要な部分において真実だ」として、「名誉毀損にはあたらない」と判断しました。」とのことですが,「海水注入を中断させかねない振る舞い」と「中断させた」の間には,結構な「溝」があるような気がします。判決文を読んでみたいところです。

 

原告:ニュージーランド南部地震で亡くなった学生のご遺族 被告:富山市

平成24年6月,富山市長の森雅志氏が,ニュージーランド南部地震で亡くなった富山市立富山外国語専門学校生の遺族から面談を求められたことについて,市の定例会見の場で「「訳の分からない失礼な文章で、即断りました。物事の節度、有り様、礼儀をわきまえない手紙でした」「きちんとした礼儀や節度を保って文章を出さなければ、会ってくださいと言われても私は市民全体を代表する立場ですので、そうはいかない。これだけ言っても意味の分からない、ご理解されない体質の人だろうと思いました」などと発言した」(下記朝日新聞記事より引用)ため,遺族が富山市に対して損害賠償を求めた裁判で,富山地裁は60万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

朝日新聞デジタル「富山)市長発言巡り市に賠償命令、原告「満足できない」」

河北新報オンラインニュース「富山市に60万円賠償命令 市長発言めぐり」

コメント:妥当な判決であると思います。

 

原告:現代書林 被告:神奈川県

ある薬事法違反事件に関連して,「現代書林」社が出版していた書籍につき神奈川県警が「「ほとんどが虚偽か、被疑者が作り上げた」と発表。新聞などで「ほぼでっちあげ」などと報じられたこと」(下記通販新聞記事より引用)から,同社が神奈川県に対して770万円の損害賠償を求めた裁判で,東京高裁は(原告の請求を認めなかった)一審判決を取り消し,神奈川県に計176万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

週刊通販新聞「東京高裁 現代書林が逆転勝訴、県警発表を名誉毀損と認定」

日本経済新聞「「県警の記者発表は名誉毀損」 出版社側が逆転勝訴 」

時事ドットコム「警察逮捕発表で名誉毀損=無罪の出版社側、逆転勝訴-東京高裁」

コメント:上記週刊通販新聞記事によれば,一審は「書籍に登場する医師・研究者12人、体験者7人の証言から、その内容の妥当性が争われた。一審では、医師ら5人、体験者3人に対する証人尋問を実施。「取材の事実はなく、掲載内容も自分の見解に反する」とする医師らの証言を重視」したということで,県警発表の「ほとんどが虚偽」という摘示について真実と認定したものと思いますが,控訴審である東京高裁は,「取材料の支払いなどの証拠を重視し、取材の存在を認めた。また、複数の医師や体験者が”取材を受けていない”などと証言しながら、実名や写真掲載に対する抗議を行わず、別の書籍でも現代書林と関係を持っていた事実を重視。「(摘発後に)関与を否定する動機がないとはいえない」として、証言の信用性を低く評価、「ほとんどが虚偽とは言えない」と判断した。」ということで,県警の摘示について真実とは言えず,名誉毀損は正当化されないとしたようです。

 


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