ネット上の誹謗中傷に関する報道
先日,以下のような報道記事がありました。
毎日新聞H27.12.15「ツイッター 過去2年、仮処分26件 中傷投稿削除など」
東京新聞H27.12.15「ツイッター削除命令相次ぐ 中傷・成り済まし投稿に」
「仮処分(命令申立て)」という裁判手続は,訴訟と異なり非公開で行われるため,裁判の当事者が誰かということも通常は知ることができません。
そのため,誰(どこ)に対して仮処分命令の申立てがされたか,ということにニュースバリューが生じることもあり,上記記事などはその例ということですね。
私も,ツイッター上の誹謗中傷被害についてご相談を受けることがよくありますが,「2ちゃんねる」などの匿名掲示板と比べて,(リツイート等の機能により)情報が拡散するスピードが格段に早いところが非常に厄介,という印象があります。
ちなみに,「保全命令」(仮処分命令,仮差押命令)の申立件数が何件かは,裁判所ウェブサイトの司法統計をみると分かります。
例えば,平成26年度においては「1万4989件」となっています(http://www.courts.go.jp/app/files/toukei/890/007890.pdf 「民事事件」の「保全命令」の欄)。
保全命令(仮処分命令,仮差押命令)というのは,訴訟をしている間に現状が変更されてしまい,せっかく判決をもらっても権利の実現ができなくなってしまうことを防ぐために,「仮」に裁判所が命令を出すもので。,訴訟に先行して申立てがなされるものなのですが,同年度における民事事件・通常訴訟の総数が「14万2487件」なので,保全が先行するケースはあまり多くないといえますね。