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ちょっとまった!グループチャットでその発言,本当に大丈夫?

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画像引用:写真素材ぱくたそ

グループチャットの発言が原因で,訴えられる!?

スカイプやLINEで気のおけない友人達とお喋り,楽しいひとときですね。 でも,内輪だから大丈夫だろうと思って不用意な発言(書込み)をすると,それが原因で損害賠償義務を負ってしまうことがあります。 実際に,東京地方裁判所は平成26年3月20日,スカイプによるチャット上でなされた発言について,「プライバシー」を侵害し,また,「名誉感情」を侵害(侮辱)する不法行為にあたると判断しました。

 

問題となった発言はどんなものだったのか?

裁判所が,プライバシー侵害,名誉感情侵害にあたると判断した発言は,次のようなものでした。

 

(登場人物)
・太郎さん(訴えた人)
・次郎さん(訴えられた人)
・花子さん

 

(プライバシー侵害と判断された箇所)

性的行為についての言及を含む会話のやり取り

※詳しい事実関係は省略しますが,太郎さんと花子さんとの間の性的行為・関係について太郎さん・次郎さんが話し合ったときの内容を,次郎さんがスカイプチャット上に載せた,というものです(判決文によれば,太郎さん・次郎さんの話合いが録音されており,その録音内容を反訳したものを,スカイプチャット上に掲載したということのようです)。

 

(名誉感情侵害と判断された箇所)
・「従軍売春婦なみだ」
・「気が狂ってる」
・「で,ぐはぐは笑うこのヒトモドキが哀れだわ」
・「うちにこのヒトモドキが荷物持ってきた日にEがメールで」
・「ま,地獄に落ちるや炉」
・「今,喋ってる ヒトモドキ」

等々

 

 

内輪の発言がプライバシー侵害になるの?

プライバシー侵害というのは,私生活に関する情報等を「公開」することを指します。スカイプやLINEは,チャットに参加できるのは限定された特定のメンバーで,大抵は少人数ですね。限定された少人数だった場合,どうなるのでしょうか? 

 

次郎さん(発言者)の主張。

損害賠償を請求された次郎さんは,裁判で「スカイプのチャットは,不特定多数の者が閲覧できるものでなく,一定の範囲の者たちの間で非公開に行われた私信にすぎないから,「公然性」の要件を欠き,名誉毀損もプライバシー侵害もなく,被告らに対する侮辱ともなりえない」ので,損害賠償責任を負わないと主張しました。 

 

それに対し裁判所は?

裁判所はこのような次郎さんの主張を認めませんでした。

少し長くなりますが,裁判所の判決文を引用すると,スカイプによるチャットについて,「登録された一定のユーザーの範囲でしか会話をすることができない」ものであることは認めつつ,「・・・チャットルームの開設者だけではなく,登録されたユーザーもまた他の者を登録することができ,ある会話が行われた時点において登録されていれば,その時チャットに参加していなくても,後にチャットに参加した際,他の登録ユーザーで上記会話に参加していて会話のログ(記録)を保持している者がいれば,そのログを閲覧,共有することができる仕組み」であると認定した上で,「会話のログは,その会話の時点で当該会話に参加していなかったユーザーとの間で共有が可能であり,そのログは,インターネットという媒体の性質上,電子データとして共有されるものであるから,データを複製することによって,上記スカイプによるチャットの仕組みによっては当然にログを共有できない第三者に対しても短時間で容易に拡散させて伝播させることが可能である」から,「会話に参加していた者が数名程度であったとしても「公然性」の要件を欠くことはない」と結論づけました。

 

つまり,スカイプによるチャットの場合,登録ユーザーのみが会話に参加できるものであるけれども,1)登録ユーザーであれば,リアルタイムでチャットに参加していなくても,後で,そのチャットで交わされた会話についてのログを閲覧,共有することができる,2)インターネットという媒体の性質上,ログは電子データとして保存(共有)されるものであり,電子データを複製することによって,チャットの登録ユーザー以外の第三者へも(チャット内容を)短時間で容易に拡散・伝播させることができるということからすれば,チャット参加者が数名であったとしても,ある発言が不特定多数に伝わっていく可能性を否定することはできないから,「公然性」に欠けることはない(したがって,プライバシー侵害が成立する),としたのです。

 

 

簡単に発信が出来るネット環境だからこそ気をつけましょう。

内輪での,しかも文字だけの会話というスタイルの場合,つい軽い気持ちで,あるいは怒りのあまり,口では決して言わないようなことを言ってしまうことがあるかもしれません。 しかし,場合によっては,自分の発言が他人を深く傷つけ,損害賠償責任を負うことがあります。文字を入力する前に,無用なトラブルを引き起こさないようにちょっと一息入れてみましょう。

 

 

 


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日本の裁判で最初に認められたプライバシー侵害
内幸町国際総合法律事務所
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