食べログのレビューに誹謗中傷!?お店側が運営会社を訴えた!
インターネットが発達した現代。様々な便利なサービスがありますね。今やスマホ一つでこうしたサービスが利用できます。今回は,皆さんもお使いになった事があるであろう「食べログ」を巡って起きた裁判例をご紹介したいと思います。
お店選びの強い味方「食べログ」の口コミ,でも・・・。
飲食情報サイトの「食べログ」,皆さんもお使いでしょうか。
飲食店にとっては,良い評価が掲載されれば経営にプラスとなりますが,悪い評価がついてしまうと客足が落ちたりといった悪影響が怖いところです。
食べログの平成27年3月時点における月間総ページビューは,約16億8,493万PV/月,月間利用者数は約6,859万人/月(出所:株式会社カカクコムウェブサイトhttp://corporate.kakaku.com/company/service)ということですから,その影響力は推して知るべしですね。
北海道では,食べログに否定的な内容の書込みをされた飲食店経営者が,書込み削除を求めて食べログ運営会社である株式会社カカクコムを被告として訴訟を提起しました。
その訴えに対し裁判所の判決は・・・。
結果からお話しますと,この訴えは裁判所に認められるところとはなりませんでした。
北海道新聞平成27年6月23日付き記事より
インターネット上で飲食店の評判を投稿するサイト「食べログ」の否定的な書き込みで客が激減したとして、北広島市で飲食店を経営する札幌市の男性がサイトを運営するカカクコム(東京)に書き込みの削除を求めた訴訟の控訴審判決が23日、札幌高裁であった。岡本岳裁判長は、訴えを退けた一審札幌地裁判決を支持し、男性の控訴を棄却した。
判決理由で岡本裁判長は「社会的に相当性を有する口コミ投稿ならば、営業上の損失が生じたとしても甘受すべきだ」と述べた。
上記記事によれば,書き込まれた内容は「料理が出てくるまで40分くらい待たされた」といったものだったようですが,うーん,どのような根拠で削除を求めるか,難しいところですね。
実際の判決にあたり・・・。
一般に,書込みを削除してもらうには,その書込みが名誉毀損,プライバシー侵害,侮辱などにあたるとか,あるいは,不正競争防止法違反(有名ブランドのパクリ等),著作権侵害等にあたることが必要ですが,「40分くらい待たされた」という書込みによってどのような権利が侵害されたといえるのか,なかなか「これ」というものがありません(なお,「営業権の侵害」(売上が減少した等)に基づく削除請求については認められない(損害賠償で解決すべし)というのが,現在の一般的な裁判実務といえます)。
おそらく,代理人としてついた弁護士さんも苦労されたのではないかと思います。
食べログのような評価サイトでは,良い評価・悪い評価の両方が出てくることがある意味で当然といえます。
そのような中で,悪い評価だけを削除していくというのは,一種の情報操作であり望ましいことではないでしょう。
ただし,悪い評価の中には,もしかしたら虚偽が混じっているかもしれません。情報を受け取る側としても,虚実をしっかりと見極めるリテラシーが求められるところかもしれませんね。