ネット上の問題記事を削除するにあたってとても重要な「プロバイダ責任制限法」,ご存じですか?
前回は,「ネットの書き込みを規制した国!違反すると罰金!?」と題してネット上の有害情報について規制したニュージーランドの話をいたしました。
今回は,誹謗中傷やプライバシー侵害等,内容に問題のある記事を削除するにあたり,とても重要な「プロバイダ責任制限法」についてお話したいと思います。
ネットに書き込まれた問題記事。これを削除したり,投稿者を特定したりするために必要な法律。
さて,私は弁護士として,ネット上の名誉毀損,プライバシー侵害といった困った事案を解決するためのサービスを提供していますが,記事の削除や投稿者の特定を進めるときにとても重要な法律があります。
「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」という長い名称の法律なのですが,一般には「プロバイダ責任制限法」と呼ばれています。
なんだ法律の名称と全然違うじゃないかという感じですが,これは,法律の主な内容が,プロバイダ(法律では,「特定電気通信役務提供者」といいます)が,問題のある投稿記事の閲覧ができないようにする措置(「送信防止措置」といいます)を講じた場合や,投稿者の情報を開示した場合に,投稿者に対して損害賠償責任を負わない(=責任制限)ための要件等について定めているからです。
プロバイダ責任制限法は,第4条までしかない法律ですが,そこで使われている文言の解釈を巡っていろいろな議論があり,条数の割に奥が深いところがあります。
例えば,「特定電気通信」,「開示関係役務提供者」など,日常では使わない,一見したところでは具体的にどういうことを指すのか分からないような文言もあれば,「権利が侵害されたことが明らか」という,日常に出てくる表現ではあるけれど,法律の文言としてどのように解釈されるのかが問題になる,というものもあります。
次回以降は,この記事削除・投稿者特定を進めるにあたり,なくてはならない「プロバイダ責任制限法」に纏わる話題を取り上げる予定ですので,ご期待ください。