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「検索結果」の削除

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以前,「いつまでも残すべき?「犯罪者」という負の刻印。」。というトピックを投稿しましたが,先日,ヤフージャパン株式会社に対し,同社が運営する検索エンジン「Yahoo!Japan」(http://www.yahoo.co.jp/)に表示される検索結果について,その削除を命じる仮処分命令が東京地裁で出された,という報道がありました(読売新聞H28.8.20記事「全検索結果の削除義務…地裁、ヤフー基準認めず」)。


 

検索結果の削除については,これまでもこれを命じる裁判例が出されており,今回の命令も「削除を命じた」ということ自体は目新しいものではありません。

 

今回の命令で注目されるのは,「今回の決定は、「タイトルやアドレスも削除しなければ、閲覧者が男性の人格権を侵害する記事内容に極めて容易にアクセスできる」と指摘。人格権侵害を防ぐには、検索結果として表示される3項目全てを削除する必要があると判断した。」という点です(上記読売新聞記事より)。

上記読売新聞記事に「ヤフー側は保全異議を申し立て、検索結果を削除するべきではないと主張。削除する場合でも、検索時に表示されるタイトルやアドレス、「サイトの抜粋」のうち、サイトの抜粋など違法な記載部分の削除に限定するべきだとしていた。」とあるように,検索エンジン管理者側は,検索結果として表示される,「タイトル」,「URL(ウェブページのアドレス)」,「スニペット」(ウェブページの内容を3行程度で纏めたもの。上記記事で「サイトの抜粋」と表現されているもの)のうち,スニペットの権利侵害にあたる部分のみ削除すべきであり,URLやタイトルについては削除すべきではない,と主張することが一般的です。

 

確かに,URLを「単なる記号の羅列」であり,それ自体からは権利を侵害する内容は読み取れないというふうにとらえれば,削除対象とすべきではないという考え方も成り立つように思われます。

しかしながら,検索結果として表示されるURLは,「クリック」という簡単な動作によって,きわめて容易にウェブページへ移動(遷移)することができ,権利を侵害する内容を閲覧することができます。

 

また,理論的にいえば,名誉毀損やプライバシー侵害というのは,社会的評価を低下させたり,私生活上の未だ知られていない情報を,不特定または多数が認識「可能な」状態に置けば,(実際にそれが閲覧されない段階でも)成立するとされています。

そうすると,「URLをクリック」という簡単な動作によって内容が確認できるのであれば,「権利を侵害する情報を含んだウェブページのURLを表示すること」も,そうした情報を認識「可能」にした,という評価が可能であり,したがって名誉毀損なりプライバシー侵害が成立するといえるのではないでしょうか。

 

今回の東京地方裁判所の判断は,検索結果の表示に悩む方にとって,非常に重要な意義を持つものといえます。

 


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