「差別」ツイートの削除。
神奈川新聞ネット版(カナロコ)H28(2016).11.11付き記事「〈時代の正体〉差別ツイート削除 「ヘイトを憂慮」ツイッター社長」によれば,「文句があるなら国へ帰れよ(糞(くそ)チョン野郎)」などという内容のツイートが,(ツイートの対象となった方の救済申立てに基づく)横浜地方法務局からツイッター米国法人に対する削除要請を受け,削除されたということです。
「チョン」という言葉は,例えばウィキペディアでは「朝鮮人に対する蔑称として俗用されることがあったが、そこから推移して、なおかつ在日韓国・朝鮮人差別に用いられる別の表現と結びついて、侮蔑的・揶揄的に使われたことで、蔑称としての意味を有するようになった」と説明されているように,差別表現であると考えられています。
以前にトピック「いわゆる「ヘイトスピーチ」法案について」で触れた「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」)が平成28年6月から施行(参考:法務省ウェブサイト「ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動」)されており,「国民は,本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努める」とされています(法3条)。また,国の責務として,「専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの・・・に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加える旨を告知するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」(同法2条)を解消するための施策を講じること等が定められています(同法4条1項)。
しかしながら,つい先日は,沖縄でヘリパッド移設工事の警備にあたっていた機動隊員が,工事に対する抗議行動をしていた人に「シナ人」などと発言するという事態(朝日新聞H28.10.20付き記事など)がありました。
また,アメリカにおいては,マイノリティや人種に関する差別的な発言で物議を醸し,批判されていたドナルド・トランプ氏が次期大統領として選出されました。
ニューズウィーク日本版H28.11.11付き記事は,「アメリカ社会にへイトスピーチ蔓延、攻撃的トランプ発言が触発か」という見出しの記事を掲載し,「メキシコ国境に壁を築く、不法移民数百万人を強制送還する、テロとの関係がないかムスリムを厳しく取り調べるといったトランプ氏の公約は、オルタナ右翼のコミュニティを活気づけてきた。」としています。
「差別」と「不寛容」が蔓延する社会は,差別される側にとってだけでなく,差別する側にとっても決して心地良いものではないと私は思うのですが,皆さんはどのように思われるでしょうか。